The International Academy for Traditional Tibetan Medicine (IATTM)は、何百年もの間、脈々と受け継がれ続けた、チベットの伝統医学(TTM)の教えを遵守し、次の世代に、その独自の医療技術を忠実に伝え続けるために、2006年に設立された教育機関です。
チベット伝統的医学(TTM)は、部分的にはインドのアーユルヴェーダ、中国伝統医学とも類似する、古代チベットにルーツを持つ医学であり、また臨床技術です。ただ他のふたつの伝統医学と大きく異なるのは、その背景にチベットの密教という大きな霊的哲学があること、そして、そもそもチベットの地に住んでいた人々のアニミスティックな文化と融合し、雪をいただく山々に囲まれた雄大で豊かな自然環境に培われながら進化したという、独自の歴史を持っているということでしょう。
チベットの伝統医学(TTM)がアーユルヴェーダ、中国伝統医学と違う最もユニークな点は、その修行、研究が、チベット密教の哲学を根本原理として行われ続けていることです。つまりチベット伝統医学とは、古代から幾代にも渡るチベットの医師たちの密教の哲学、宇宙観、霊的な修行をもとに繰り返された微細な分析により、システム化された解剖学、心理学、胎生学、病理学であり、それらの医学原理に対する、最も適切な実際の診断と治療の方法が網羅された医学なのです。そしてそれはまた、長い伝統と膨大な経験に基づく、チベットの文化が生んだ豊かな知識であり、知恵でもあります。
チベット伝統医学は、ホリスティックなシステムを持つ医学です。西洋医学とは異なり、一箇所の症状だけで診断、治療をするのではなく、身体全体、マインド(こころの問題)、そしてスピリチュアリティ(霊性の問題)を総合的に診断し、それらを吟味したうえで、個々人それぞれに適応した治療を施します。また、個々人の外面的(生活環境)、内面的環境(情緒)をも吟味の内容に含みます。
チベットの伝統医学は、それが伝統的な治療システムゆえに、実際に臨床に使われることなく、過去の伝統的医学論としてのみ語られ、研究されるだけでは、美術館に収められる過去の遺物、化石同様、現代社会にほとんど忘れられてしまう可能性があります。しかし、その理論のなかには、西洋医学が注目し、その効能に関して議論を行うだけではなく、その効能が見直され、実際に代替療法として取り入れられている治療法も多くあるのです。実際チベット伝統医学はチベット人たちの間では現在でも臨床に使われ、かつ研究されている医学で、一部のチベット薬は、世界市場に進出して評価を得るまでになっています。
IATTMの目標は、実際にいまわたしたちが生きている今現代、この社会で「すこやかで、健全な毎日を送る」ために、そのホリスティックにシステム化されたチベット伝統医学の深遠な知識、知恵を、積極的に、そして効果的に生かしていくことです。
ホリスティックな治療に大きな関心を寄せる現代社会の風潮のなか、チベット伝統医学は、たくさんの人々に大きな恩恵を与えることと信じてやみません。
以下が、IATTMが今後、できる限りの高水準で提供するコースとトレーニングの予定です。また、チベット伝統医学についてのさらなるインフォメーションも、確実にアップデートしていく予定です。
IATTMの活動
- チベット伝統医学の一般向けセミナーとトークセッション
- チベット伝統医学の心理学、それに関連したヒーリングの科学のためのスペシャルコースの促進
- チベット スタディ ツアー
- 癒しのためのコースとリトリートの促進
- Journal of Traditional Tibetan medicine−チベット伝統医学とそれに関連したトピックスを記載した機関誌の発行
TTMのテキストブックをはじめとする関連マテリアルの発行
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